空気吸うだけ

あんな風にも こんな風にも  生きたくない

Nonsuch/XTC(1992)

「Nonsuch」XTC(1992/Virgin Records/Ape House Ltd.)


やっぱり買ってしまいましたXTCの92年作「Nonsuch」アナログ盤2枚組。歴代の作品の中では屈折度弱めでオーソドックスと言われる作品だけどポップなメロディーとよく練られたアレンジそして批判的な歌詞、大人の余裕を持ったXTC史上一番好きなアルバム。リマスターされており最高の音質です。


プロデュースはガス・ダッジョン。まぁ途中でアンディが乗っ取ったかたちで解雇されたらしいんですけどね(笑)。CD時代突入だからか1時間強のバラエディに富んだ全17曲。冒頭3曲なんかは前作「Oranges & Lemons」にも通ずるパワーポップな雰囲気を継承、4曲目あたりからこのアルバム独特な音世界が広がりはじめホーン主体の「Humble Daisy」、コリンのうねるベースとアンディのカッティングを基に随所に弦楽を配置した「The Smartest Monkeys」、一見普通のポップチューンだけど2番にうっすらオーケストレーションが乗っていたりと小技が効いてる「The Disappointed」、ピアノと弦楽とホーンだけで構成され後のAppleVenus Vol.1の予告的でもある「Rook」...こんな具合にポップスの中に於けるストリングスやホーンの上手な活用法のお手本みたいな作品。Apple Venus Vol.1はポップスの範囲外にも及んでる感じだけどNonsuchはあくまでもポップスの範囲内。前作「Oranges & Lemons」がLA録音によるアメリカマーケットを意識した作品でその前の「Skylarking」もウッドストック録音、Nonsuchでのストリングスやホーンの効果は久々にイギリスのどんよりした空気を彷彿させるなぁと抽象的ながら思ったものです。


アナログでは2枚目になって高揚するメロディをトランペットが奏でる「Omnibus」、病みつきになる変態メロディ「That Wave」、静寂のバラード「Wrapped in Grey」は1番サビのコーラスメロが2番はストリングスに置き換わってここ大好き(笑)。コリン作「War Dance」「Bungalow」あたりでのJAZZ的アプローチ、最後の「Books Are Burning」はシンプルなバンドサウンドとコーラスワークに戻ってエンディングはアンディとデイヴのギターソロ合戦。そのままどこかへ行っちゃうのかな?当時は次のアルバムがなかなか出ないんで妙に感慨深く思ったものです。まぁデイヴは戻ってこなかった訳ですが。


あとこのアルバムはアートワークも大好きです。特に裏ジャケ。全17曲すべてがスクエアにアイコン化され配置されているこのキッチリ感、最高。

 
 
 
 
 
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